友人のパソコンを借りたとき、思わず声が出たことがあります。
「え、これ、どこから探せばいいの?」
画面いっぱいに並んだフォルダ、フォルダ、フォルダ。壁紙はもう見えません。名前は「新しいフォルダ」「新しいフォルダ (2)」「新しいフォルダ (3)」と続き、その隣には「最終」「最終_改」「最終_本当に最終」まで鎮座しています。
ところが、本人はこう言うのです。
「あ、それならここだよ」
迷いなく、ひとつのフォルダをダブルクリック。1秒で目的のファイルが出てきました。
その瞬間、私は気づきました。この人の頭の中には、ちゃんと地図があるのだと。
今日は、そんなデスクトップがフォルダだらけの人の頭の中を、少しだけのぞいてみようと思います。
1. 「置いた場所」ではなく「置いた気分」で覚えている
フォルダだらけの人は、ファイルを「住所」ではなく「感覚」で覚えていることが多いようです。
- 「あれは画面の右上あたりにあった」
- 「確か青っぽいフォルダの隣だった」
- 「あの作業をしていた日に、ここに置いた」
きれいな階層で整理する人は、頭の中に「本棚」を持っています。一方でフォルダだらけの人は、頭の中に「自分の部屋」を持っているのかもしれません。どこに何があるかは、本人にしか分からない。でも本人には、ちゃんと分かるのです。
2. 「あとで整理しよう」は、実はやさしい約束
フォルダが増えていく理由の多くは、この一言です。
「あとで整理しよう」
この「あとで」は、忙しい自分への思いやりでもあります。いまは目の前の作業を終わらせたい。だから、とりあえず保存して、とりあえずフォルダに入れて、とりあえずデスクトップに置く。
「とりあえず」を積み重ねた結果がデスクトップなら、それは怠けた跡ではなく、ちゃんと頑張った跡とも言えそうです。
3. 消せないのは、だらしなさではなく慎重さ
「このフォルダ、もう使ってないでしょ?」と聞くと、返ってくる答えはだいたい決まっています。
「いや、いつか使うかもしれないから」
この「いつか」の正体は、たいてい不安です。消したあとに必要になったらどうしよう。あのときの資料がないと困るかもしれない。そう考える人は、慎重で、責任感が強い人でもあります。
ただし、慎重さにも代償はあります。
4. それでも、少しだけ困ること
ここまでやさしく書いてきましたが、正直に言うと困る場面もあります。
- ファイルを探す時間が、ちりも積もれば意外に長い
- パソコンの動作が重くなることがある(デスクトップに置いたファイルは、思っている以上に起動時の負担になることも)
- 大事なファイルをうっかり消したり、重複させたりしやすい
- 人に画面を見せるとき、少し恥ずかしい
「困ってはいないけれど、ちょっと気にはなる」。そんな人にこそ、試してほしい小さな工夫があります。
5. 頭の地図を壊さない、ゆるい整理術
大掃除をする必要はありません。いつもの感覚を大切にしながら、少しだけ整えるのがコツです。
① 「あとで」フォルダをひとつだけ作る
迷ったらここに入れる。デスクトップに置くのは、このフォルダだけにします。
② 名前に日付を入れる
「資料_1011」のように、日付を入れるだけで、あとから探しやすくなります。
③ 週に一度、5分だけ見直す
全部を片づけなくて大丈夫。「今週は3つだけ」で十分です。
④ 検索機能を味方にする
場所を覚えていなくても、ファイル名の一部で探せます。フォルダだらけの人ほど、実はこの機能と相性がいいかもしれません。
⑤ 壁紙が見えるようになったら、自分をほめる
きれいな壁紙が見えた日は、ちょっとしたごほうび。コーヒーでも淹れましょう。
おわりに
デスクトップは、その人の頭の中を映す、小さな窓のようなものだと思います。
きれいに整った画面には、その人の几帳面さが。フォルダだらけの画面には、その人が走り抜けてきた時間や、「いつか使うかも」という慎重さ、「あとで整理しよう」というやさしい約束が映っています。
どちらが正しい、ということはありません。大切なのは、自分の頭の地図と、画面の地図が、少しだけ仲良くなれること。
今日、ふとデスクトップを眺めて、「なんだか、これも悪くないな」と思えたなら。それだけで、パソコンとの付き合いは、少しやさしくなるはずです。
もし余裕があれば、ひとつだけフォルダを開いて、中をのぞいてみてください。そこには、昔の自分が残した、ちょっとした宝物が眠っているかもしれません。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます
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